
学生・研修希望の皆様へ
耳鼻咽喉科医・頭頸部外科医になろう
耳鼻咽喉科・頭頸部外科医が求められています
21世紀の医療に求められているテーマとして、ピポクラテスの時代からいわれている「人間の生命を守る医療」とともに「人間としてのQOLを守る医療」が掲げられています。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科は聴覚、平衡覚、嗅覚、味覚、嚥下、発声など人間らしく生きていく(QOL)上で最も重要な機能を扱う分野であります。同時に頭蓋底から頸部、上縦隔を担当する科でもあります。その疾患はめまい,難聴などの感覚障害,嚥下・発声障害などの機能障害,上気道感染症,アレルギーおよび腫瘍など多種多様であります。その治療としてはめまい,アレルギー、炎症に対する内科的治療のみならず、手術的治療を主としています。その手術は顕微鏡下、内視鏡下で行う側頭骨外科、鼻科手術とダイナミックな切除術と機能再建術を行う頭頸部外科に大きく分けられます。
このように耳鼻咽喉科・頭頸部外科が対象とするものは、一般市民はもとより医学生が想像している以上に広い範囲にわたり、21世紀の医療において耳鼻咽喉科・頭頸部外科医が担うべき役割は極めて重要であるといえます。
いま、全国には耳鼻咽喉科・頭頸部外科専門医は約11,000名いますが(R2年調査)、この数は耳鼻咽喉科・頭頸部外科が扱っている患者数からみると、診療所勤務医、病院勤務医ともに決して足りているとはいえません。多くの患者から求められている耳鼻咽喉科・頭頸部外科医を目指すことが、21世紀の医療と自分自身の将来を考える上で、医学生や研修医が今後進むべき道のひとつではないでしょうか。
旭川医科大学
耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座 教授
髙原 幹
入局のすゝめ


「耳鼻咽喉科・頭頸部外科医になろう」でも説明したとおり、耳鼻咽喉科・頭頸部外科医が求められています。実際に現在初期研修で研鑽を積んでいる研修医の皆さんや臨床実習を行っている医学生が耳鼻咽喉科医になるためには、後期研修においてどこかの大学の耳鼻科医局に所属するのがもっとも確実な方法です。
大学の医局に入らずに直接、市中病院などに就職することを考えている方もいるかもしれません。しかし、市中病院などに直接就職すると、極めて少数の限られた耳鼻咽喉科医からしかトレーニングを受けられません。すなわち、上司が耳科手術専門ならば耳科領域のみ、頭頸部手術専門ならば頭頸部のみ、の診療しか学ぶことができません。加えて、手術法や治療に対する考え方も限られた耳鼻咽喉科医からしか学ぶことができません。臨床研修する上で、最も重要なのは多くの耳鼻咽喉科医からいろいろな診療技術、手術法を学ぶことです。また、海外に留学し国際観をもつことや研究することも一流の耳鼻咽喉科・頭頸部外科医になるには必要でしょう。以上のことから、一流の耳鼻咽喉科・頭頸部外科医になるには、大学の耳鼻科医局に所属するのがもっとも確実なのです。
医局選びの基準は個人個人で様々かと思いますが、可能な限り吟味して納得の医局選びをしてほしいと思います。かといって医局選びはなかなか難しいのが現状です。なんといっても情報が不足しているからではないでしょうか。どんな治療を行っているか、どんな研究をしているのか、どれくらい関連病院があるのか・・・。この際に、特に重要と思われる情報は、その教室の研究・診療内容および関連施設の数と質です。せっかく入局しても自分が興味ある研究・診療が行えないのであればつまらないし、関連施設が少なければ収入や将来についても不安が残ります。
旭川医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科では、医師個人の希望に添った「オーダーメイドの」研修プログラムを用意しています。耳鼻咽喉科の中の様々な分野で興味を持ったことをとことん追求することができます。また、関連施設が多く、各分野に精通したエキスパートが懇切丁寧に指導し、それぞれの施設ごとの特長を生かした研修が可能です。さらに、関連施設が多いことは収入や将来の点でも大変有利です。
教室の雰囲気については我々の医局は先輩・後輩分け隔て無く、大変フランクな雰囲気で日々の診療・研究に邁進しています。
関連病院は多いです。北は稚内から南は函館まで、北海道全域をくまなくカバーしております。また、旭川市内の基幹病院をほぼ全て関連病院として持っている診療科は本学の中ではわずかです。さらにアメリカ、ヨーロッパ各地に留学も多数、多くの先輩方が海外で研鑽を積んでいます。詳しくは海外関連施設のコーナーを見てください! ただ、問題は「関連施設が多すぎて人が足りない」ことです。医師過剰時代といわれる現在ですが、当医局に入局すれば将来に不安をもつことは全くありません!!
1976(S51)年開設の教室です。大変フランクな雰囲気で日々の診療・研究に邁進しています。耳鼻咽喉科・頭頸部外科に興味を持っている研修医の皆さんが一人でも多く旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室のスタッフとして参加してくださることを期待しています。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科 専門医研修プログラム
1. 研修目標の概要
耳鼻咽喉科・頭頸部外科は、聴覚、平衡覚、味覚、嗅覚など多彩な感覚機能の障害を扱い、呼吸や嚥下など生命維持に直結する機能も取り扱う。なかでも、聴覚や発声などのコミュニケーションに関係した高次神経機能の障害は高齢化社会を迎え患者の増加が予測され、失われた機能の回復は広く社会の求めるところである。取り扱う患者は、感染症主体の小児から悪性腫瘍や感覚機能障害を主な疾患とする高齢者まで幅が広いため、全人的対応のできる臨床医を目指して研修する。
初期臨床研修(医師免許取得後2年間)で身につけた一般臨床研修目標については専門医研修においても重要な基盤となる。その上で、耳鼻咽喉科・頭頸部外科学の全ての領域について可能な限り多くの症例を経験させ、オールラウンドな耳鼻咽喉科・頭頸部外科医の育成をおこなう。専門医研修の期限は4年間であり、この研修を通じて耳鼻咽喉科専門医の受験資格を得ることができる。また、Subspecialty として頭頸部癌専門医、日本アレルギー学会認定専門医、日本気管食道科学会認定医、日本内分泌外科学会専門医などの受験資格を得ることができる。
2. コース
1)耳鼻咽喉科・頭頸部外科大学院コース(4年間)
旭川医科大学大学院は、医学の分野における高度の研究能力とその基礎となる豊かな学識をそなえた研究者または高度に専門的な業務を遂行できる医師の養成を目的とし、医学の発展と福祉の向上に寄与することを使命としている。
大学院に入学後、1年〜1年半の臨床研修の後に、研究に従事する。原則として、耳鼻咽喉科・頭頸部外科教室で研究活動をおこなうが、状況に応じて、学内、国内外への研修留学も考慮する。4年間で学位(医学博士)を取得することができる。その後、1年間の臨床研修により、耳鼻咽喉科専門医の受験資格を取得することができる。
当教室の研究領域としては,
1.腫瘍・血液病態学(頭頸部癌,悪性リンパ腫の分子腫瘍学的,ウイルス学的解析)
2.免疫・感染症病態学(中耳,鼻副鼻腔,扁桃など上気道の粘膜免疫と感染防御機構の解明)
3.感覚器・運動器病態学(鼻腔,喉頭などの上気道の呼吸,嚥下機能における生理学的解析)
の3つの主要なテーマがあり、その中から選択することができる。詳細は研究概要をご覧下さい。
(2)耳鼻咽喉科専門医コース(4年間)
専門医研修は旭川医科大学病院で2年程度および関連施設(耳鼻咽喉科専門医研修施設)で2年程度、合計4年間行う。大学病院での研修では、外来患者および入院患者の診療を担当する。外来診療では患者の問診、所見、検査結果から的確に診断し、治療を進める能力を養う。入院患者の診療では診療チームに在籍し、指導医の指導を受け、診療をおこない、基本的な手術手技を習得する。また、関連施設での研修では、いわゆる common disease を中心に可能な限り多様な症例を経験するよう努める。
4年間の研修を終了すると耳鼻咽喉科専門医の受験資格が得られる。専門医試験は毎年夏に筆記試験、面接試験が行われ、合格すると「耳鼻咽喉科専門医」となる。
3. 研修計画
耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域(耳、鼻、口腔、咽頭、喉頭、気管、食道、顎・顔面、頭頸部および中枢神経)における医療、福祉に関する問題についても、社会のニーズに応えて医の倫理にもとづき、専門医としての診療を適切に実施するとともに、学校保健や公衆衛生に関する問題に対処する基本的な能力を養うことを研修目標とする。
1.一般臨床研修目標の習得を引き続き目指す
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基本的診療の知識・技能・態度の習得
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緊急患者の初期診療
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慢性疾患・高齢患者の管理
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末期患者の管理
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患者・家族との人間関係
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患者の心理面・社会面の問題解決、説明、指導
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チーム医療
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紹介・転送に関しての適切な判断
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適切な診療録の作成
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思考力、判断力、創造力、自己評価能力の作成
2. 外来診療
耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の外来患者を以下の諸点に留意して適切に実施する能力を養う。
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必要な症候学の知識に精通し、適切な問診が取れる能力を有する。患者心理を理解して問診する態度を身につける。
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外来でおこなう検査の方法や検査機器を理解し、必要に応じて十分な検査をおこなう。
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問診、症状、所見による診断ならびに鑑別診断をおこなう。
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疾患の内容、程度を把握し、適切な専門的外来治療をおこなう。
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必要な知識を理解し、他の医療従事者と協力して問題を解決する。
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救急疾患、外来診療にともなう偶発症に対する診断能力、処置能力を身につける。
3. 入院診療
入院患者に適切な治療を行うために担当医として耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域についての基本的臨床能力を持ち、入院患者に対して全身、局所管理を適切に実施する。
4. 検査
耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の専門的検査の結果を判定・評価し、問題解決に役立てるために、その原理と方法を理解 し、適応を定めて、それを指示(依頼)あるいは実施する。検査施行前には検査の意義・必要性・方法、検査にともなう苦痛、起こりうる問題、所要時間、検査前の注意事項などについて患者や家族に説明する。検査の結果を判定評価して患者、家族に説明し、必要な指示、指導を行う。検査項目としては聴覚検査、平衡機能検査、顔面神経の検査、嗅覚・味覚検査、画像検査(単純X線、超音波、CT、MRI)、鼻咽喉頭内視鏡、食道・喉頭直達鏡検査が挙げられる。
5. 手術
耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の適切な外科的治療のために、基本手術の原理と有用性、危険性を理解し、手術の適応を決める。また、患者、家族から手術のインフォームド・コンセントを得て、手術手技を習得するとともに手術前後の管理をおこなう。に関する意義、原理を理解し、適応を決め、手術手技を習得し、手術前後の管理をおこなう。
研修・見学・入局の問い合わせ
旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室では、学内、学外を問わず数多くの入局者を募集しています。下見、見学等も大歓迎です。学生の方は、夏休みなどを利用されるのも良いかと存じます。当教室では広大な北海道全域に関連病院を有し、耳鼻咽喉科・頭頸部外科全域にわたって、そのエキスパートが指導いたしております。大学生、初期研修医のみならず、他科の先生の入局も大歓迎です。
見学、入局の相談は常時、メールまたは電話、Faxで受け付けております。下記にお問い合わせ下さい。